近視の症状

 眼球は入ってきた光線を屈折させて網膜上で焦点を結び、私たちにさまざまな光景を見せてくれます。近視はこの屈折の調整異常のことで、網膜の手前で焦点を結んでしまいます。このため近くのものを見たときには問題はありませんが、遠方を見ると、はっきり見えなくなってしまいます。
 近視は眼の屈折の調整がうまく機能していないだけで、網膜や視神経に異常があるわけではありません。誤解しているかたも多いようですが、視力そのものが低下しているわけではないのです。

 近視にはいくつかの種類があります。ひとつは角膜や水晶体の屈折率が強すぎるために、網膜に至る前で焦点を結んでしまうもので、屈折性近視といいます。
 また、眼球が通常よりも前後に長く成長してしまい、水晶体と網膜との距離が長過ぎるために、焦点が網膜まで届かなくなってしまう軸性近視というものもあります。軸性近視の場合は、眼球が伸びているために網膜も引き伸ばされて薄くなり、網膜剥離を起こしやすくなります。
 このほか老人性白内障によって近視になることもあります。

 仮性近視のように一時的に近視になってしまうこともあります。これは長時間テレビやパソコンを見て眼を酷使した後に、誰でも起こるもので、眼を休めたり遠くを見るとおさまりますが、なかにはそのまま近視になってしまうひともいます。とくに遠視のひとは仮性近視になりやすいと言われています。