近視の原因

人間は生まれてから30代後半まで、眼球が成長しつづけています。成長の間は水晶体と網膜との距離が離れていくので、誰でも近視化が進んでいるのだそうです。近視は通常は8歳から12歳の間に発現し、青年期を通じて徐々に進行しますが、生まれながらに遠視の傾向が強かったひとは、遠視の程度が弱まるだけで近視にはなりません。遠視が弱かったひとだけが近視になります。
 つまり、近視は眼の成長とともに起こる自然な現象で、近視になるひとと、近視にならないひととの差は、生まれたときの遠視の度合いによります。また、眼球の成長によって起こる近視化の度合いが激しいひとと、そうでもないひとがいます。

 なぜ生まれたときに遠視の度合いに差があるのか、その原因については、はっきりしたことは分かっていません。近視の発生率が民族によって違っているところから、近視の原因を遺伝にあるとする説もあり、近視と関係する遺伝子も見つかっているそうです。
 また、近視の進行具合の差についても、はっきりした原因は分かっていません。勉強や読書、パソコンなど、近くの物を見続けると、その距離に目が適応してしまって近視が加速すると指摘する研究者もいますし、幼年期に炭水化物を摂り過ぎると近視が発生しやすくなるとか、幼年期に夜も明かりをつけた部屋で寝かせていると、近視になりやすいと主張する研究者もいます。

 最近では近視が増加傾向にあって、小中学生から近視になってしまうひとが増えています。この増加傾向の原因は、子供の生活習慣が変化したためとか、子供の平均身長が伸びた結果だと主張する研究者もいますが、やはりはっきりしたことは分かっていません。
 近視は眼球の成長が止まると進まなくなりますが、いまでは目を酷使する機会が多くなったため、その後も近視が進むことが多いそうです。しかし、目を酷使することが近視を進ませていることを説明できるだけの科学的根拠は、いまのところまだ見つかってはいないそうです。